<観劇レポ④>COME FROM AWAY
2017年の5月にNYに来た時、9.11に関連した作品をやるらしいという情報だけ知っていて、あまり日本人には共感できないかなーとおもって観劇リストに入れていませんでした。
ただアメリカ滞在中にトニー賞に7部門ノミネートされたのをみて、今一度作品を調べ直し、見ることに決めたミュージカルです。
2017年はブロードウェイミュージカルは豊作の年でした。
その中でも本作品は心に響く、忘れられない作品の一つになりました。
今回の滞在でも必ず観たいとおもっていた作品です。
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- 概要
- STORY
- わたし的評価
- 感想
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1.概要
〔劇場〕Gerald Schoenfeld Theatre(236 W 45nd St)
〔公演日〕火〜日(水・土は昼公演あり)
〔休演日〕月
〔公演終了日〕未定
〔受賞など〕2017年のトニー賞では、合計7部門でノミネート。
〔チケット〕:TKTSにて40%OFF
〔価格〕96.0$+6$(手数料)=102$
〔シート〕Orchestra seat B6
2.あらすじ
舞台の背景となるのは、誰もが記憶している、2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロ事件。 テロ事件の影響で北米の空域を閉鎖したために、アメリカ国内に入る予定だった38機の飛行機がと7,000人の乗客・乗員が目的地を失いました。目的地に行けない38機の飛行機は、カナダ・ニューファンドランド・ラブラドール州・ガンダーにある「ガンダー国際空港」に降り立ちます。ガンダー空港とは、カナダのニューファンドランド島のガンダーの街に隣接していて普段は合衆国からヨーロッパへの飛行機が燃料補給をする為の国際空港です。
わずか人口1万人であるカナダの小さな町に、人口の約2倍の人種も出身も様々な7,000人もの足止めされた乗客を、ガンダーの住人は温かく受け入れます。さらに、住民たちは自分たちの家に泊めたり、食事を提供し、またバーでは心身とも疲れ果てた7,000人もの人たちと一緒に過ごし、ガンダーの住民は広い心で乗客たちをもてなしました。
果たして行き場を失った7,000人の乗客たちは、無事に自分たちの居場所に戻ることができるのだろうか‥.
3.わたし的評価
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メッセージ性:★★★★★
英語の聞き取りやすさ:★★☆☆☆
音楽の良さ:★★★★★
ダンスの良さ:★★☆☆☆
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4.感想
この作品は本当に深いです。
それは何より実話に基づいて作られていて、出演者の役一人一人も、実際に存在している人物なのです。
誰も予期できない天災や事件に巻き込まれ当たり前の毎日が過ごせなくなった時、周りに頼る人がいなければ知らない人と協力し合うしか無くなりますよね。
そんな経験滅多にすることではないと思いますが日本人であれば、3.11の震災が思い当たるのではないでしょうか。
本作品は9.11で着陸できなかった飛行機の乗客7000人を受け入れたカナダの田舎町が舞台となっています。
1日にして、町の人口が2倍になるのです。
乗客は、事件のことをカナダに到着後知り、不安な日々を送ります。
一方で受け入れるカナダのニューファンドランドのガンダーという町の人たちも、よその国で起こった出来事により自分たちの日常が変化してしまう、混乱と良心の間で戸惑いながらもすでに到着している乗客のために受け入れ準備を行います。
誰にとっても予想のできなかった出来事から生まれる
人々の不安・混乱・安堵・協力・思いやり・愛情・友情が詰まった作品です。
緊迫感のあるスピーディなテンポで作品は展開していきます。なので英語は聞き取れないことが多かったです。でもなぜかわかるんです。
役者の技量や表現方法もそうですがやはり人としてなぜかわかってしまう感情みたいなものが流れ込んでくるからでしょうか・・・。
また緊迫感のある中でも人と人との交流が描かれるシーンも多くあります。
飛行機の中で隣の席に座った人を気遣うシーンや、ガンダーの人と乗客との交流がバーで行われるシーンなど。
バーのシーンはとても印象的で、みんなでお酒を飲み交わし机に乗ったり円になったりして歌って踊るシーンがあります。
カントリー調な音楽がガンダーらしい空気感を作り出しています。
本当は心の中に不安や悲しみがあるけどその瞬間は反動のように笑顔で楽しむ人たちの姿が心に残ります。
この9.11事件がもし、カナダで起こった場合に、アメリカは乗客を受け入れるだろうか、と考えてみました。
多分、受け入れないでしょう。移民の入国を激しく制限するトランプ政権の中で、さまざまな人種・宗教の人たちを一気に7000人うけいれ一般の家庭で5日間に渡ってつくすイメージがつきません。
例えばアメリカでなくても日本の場合はどうでしょうか。
今はグローバルとかインターナショナルとかよく言われてますが日本のどこかの田舎町(お年寄りが多いですよね)が、いきなりどこの誰かわからない外国の人を家に招き入れること、できるでしょうか。
そう考えるとこの小さな町で受け入れる選択をした市長や、町の人たちがとても尊く勇気のある選択をしていることがわかると思います。
ブロードウェイで公演する前に、キャストたちは実際にガンダーに訪れ町の公民館でライブ公演を行なっています。
実際に存在する自分の役のモデルとなった人との交流も行われ、その様子のYOUTUBEを見たときは本当に感動しました。
私がミュージカルのプロデューサーになったとしてどういった作品を公演したいですか?と先日ある面接で聞かれました。
その時に即答したのが、このCOME FROM AWAYです。
映画とは異なり目の前でリアルに繰り広げられる舞台公演でこの作品をやることは
見る人に直に突き刺さるものがあるのだと思っています。
一人でも多くの人に観ていただきたいミュージカルです。